ネイリスト/ 39才

同性からの嫉妬と色気への罪悪感。
色気を出さないように気を付けてきた。
小学生の頃から周りの子たちよりも胸が大きくて色気があり、
「あの子は胸に詰め物をしているらしい」という嘘の噂を流されたことがあった。
「あんなみたいな体型の子、大嫌い」と女友達から面と向かって言われることもあった。
とにかく同性から攻撃されることが多かったのだ。
ママ友にも警戒される。
子どもを産んでママになってからは、家族ぐるみの付き合いの中で、よそのパパに話しかけられただけで、「何話してたの」とママ友たちに警戒された。
実際に誘ってくるパパたちもいたので無理もない。
よそのパパとLINE交換しても何も言われないタイプの人もいるのに、自分はよそのパパとは挨拶しかしない、男女が集まるところには参加しないなど、自分でどんどん制限を多くしていった。
そうして「見た目がこんなだから」と、誰より真面目に誠実に生きてきたのに、事実無根の噂は絶えなかった。
それでも、自分の色気が悪いのだという罪悪感から、何も言わずその場から身を引くのだった。
男性はカラダ目当ても…。
一方、男性からはモテたが、それもいいことだけではなかった。
本当に好きだと思っているのか、単にカラダへの興味で近づいているのかがわからないのだ。
最初はみんな優しいので、男性を試す行動に出ることが多かった。
さらに、変質者に遭遇することが異常に多いので、地方に住んでいたときには、徒歩1分のコンビニにも車で行ってたほど。
付き合っている男性にも、必要以上に疑われることが多く、人一倍誠実さを見せても、浮気を疑われたり、信じてもらえなくて終わることも多々あった。
「色気」をそのまま受け入れる。
「色っぽいね」という褒め言葉も、イヤだなと感じて受け取れなかった。
女性としての色気があることで様々な生きにくさを抱えてきたのだ。
でも35才を過ぎた頃から、ようやくその色気もひっくるめて自分の魅力だと思えるようになった。
自分の色気を疎ましく感じたのは、自分自身と「カラダ」や「色気」を分離して捉えていたからだと気づいたのだ。
それまでは、寄ってくる男性に「どうせカラダ目当てなんでしょ」「中身はどうでもいいんでしょ」と思ったけど、自分の色気を受け入れてからは、カラダに惹かれたと言われても素直に嬉しい。それが私だから。
もう色気を出し惜しみしない。
自分自身と「色気」を統合できたのは年齢を重ねたということもあるし、
多様性の時代の後押しもある。
そして何より、昔は常に警戒していた「若い女の子」から「色っぽくて憧れる!」と純粋に言われるようになったこと。
そして、その色気を必死に隠そうとする方が逆にエロかったことにも気づき、今は「セクシーおばさん」として出し惜しみすることなく色気を出して生きていこうと思っている。
これまで人一倍誠実さをアピールしては、いつも空回りしてきたけど、
今は、男性から「騙されそう」と警戒されると「騙しちゃうぞ♡」と返してみる。
見た目と中身が一致してた方が警戒されないということも感じ始め、自分が心地いい塩梅を実験中だ。
スナックのようなネイルサロン。
今後は、新宿の雑居ビルの小さな一室を借りて、スナックのような「ワケあり女」のネイルサロンをオープンする。
狭い空間で2人きり、作業をしながらポツリ、ポツリと交わす会話は、友達にも言えないようなこともポロッと話せちゃう場所。
月に一回本音で話せる、そんな空間を作りたいと思っている。
●ヌードを描いてもらって。
今回は、ヌードもデッサンしたけど、あえて下着をつけてセミヌードに。
肩紐をはだけさせることで、これまで抑えてた色気とスキを見せてみた。
ヌードを描く空間は個室のネイルサロンと似てると思う。
描く側も描かれる側も2人で裸になって、絵を描いてもらいながらと話すと、まるで友達とサウナにいるような感じで、不思議と服を着ている時より深い話ができた。

インタビュー・ライティング/mossco
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